美術の沖山先生 6
=美人教師とメガネの中学生のお話=

2組のカップル
ナカムラ君たち4人は、デパートの最上階に設けられた県の美術展の会場内を、展示されている作品見ながらゆっくりと歩いていました。
先生たち二人は寄り添うようにして前を歩き、その少し後ろを小柄で可愛らしい女子中学生と、メガネで坊主頭の男子中学生の2人が並ぶようにして歩いています。
・・・・先生たちは誰が見ても美男、美女のカップルだな。 オレたち4人、他の人が見たら2組のカップルに見えるかな?
オレとこの女子も中学生のカップルなんちゃって? 知らない人が見れば。 きっと。
いや、そんな風に見えるはずないか、こういうの妄想って言うんだな・・・・・・

ほとんどしゃべんネかった?
後で、クラスの仲間にその女子も一緒に宇都宮に行ったことを言うと、
「オンメエ、 2年4組のシノダ・キョウコちゃんと一緒に宇都宮に行ったってカイ? トーブ・デパートに?
いいなあ、オンメエ。 かわいいべ? キョウコちゃん。 みいんなそう言っているべヤ。
そういや、7組のアオキ、あいつ、キョウコちゃんに夢中になっちってよ、結局フラれちったけど。
他にも何人かいるべ、あの子に気があんの。
で、何話ししたん? キョウコちゃんと。 今度どっかで会うべ、とか言ったんカイ?
え? ほとんどしゃべんネかった? なんでヨ?」
どうやらかなりモテる子のようでした。
先生たちの会話
ナカムラ君は、聴くとはなしに、前を歩いている先生たち二人の会話を聴いてしまいました。
話の感じからすると、その男性もどこかの学校の美術の先生のようです。
しかしどうもその男性と話している時の沖山先生は、今まで彼の知る沖山先生とはだいぶ違う感じでした。

あくまで聴き手に
沖山先生は、前にも言ったとおり、ナカムラ君たち生徒の前では乱暴とも言える男性的な話し方で、また常に自信を持って断定的に話し、曖昧な言い方は殆んどしませんでした。
でも、この時の沖山先生の言葉は全然そんな感じではありません。
何といっても沖山先生は、あくまで聴き手になっていて、あまり自分の考えや、意見を言っているようではありません。
その男性の考えを尊重しているというのか、要するに”立て”ている感じです。
そして、何といってもその声そのものが、いつも聴いているあの沖山先生の声とは違っています。
彼は、こんな沖山先生今まで見たことがありません。
「ねえ、これ、どう思う?」
「ウウン、まあ、いいんじゃないかな。 質感とかはよく出ているね。 でもちょっと構成、弱いかな。 上手だけどね。 僕はそう思うね」
「そう、やはりそう思う? じゃあ、こっちはどう?」
「ウン、こっちの方がいいよ、絶対にね。 表現が強いし、勢いもあるね。 こういう表現なんか、なかなか出来ないと思うよ」
「そうね、確かに力強いね」
聴いてはいけない大人の会話
・・・・・なんだか沖山先生の声は、いつもの声と違っている。 沖山先生もやっぱり女性なのかな・・・・
ナカムラ君はそんな風に思い、ちょっとくすぐったいような違和感というのか、あるいは聴いてはいけない大人の会話を聴いているような感じというのか。
そんな気がして、前を歩いている先生たちとの距離を少しとりました。
=美人教師とメガネの中学生のお話=

2組のカップル
ナカムラ君たち4人は、デパートの最上階に設けられた県の美術展の会場内を、展示されている作品見ながらゆっくりと歩いていました。
先生たち二人は寄り添うようにして前を歩き、その少し後ろを小柄で可愛らしい女子中学生と、メガネで坊主頭の男子中学生の2人が並ぶようにして歩いています。
・・・・先生たちは誰が見ても美男、美女のカップルだな。 オレたち4人、他の人が見たら2組のカップルに見えるかな?
オレとこの女子も中学生のカップルなんちゃって? 知らない人が見れば。 きっと。
いや、そんな風に見えるはずないか、こういうの妄想って言うんだな・・・・・・

ほとんどしゃべんネかった?
後で、クラスの仲間にその女子も一緒に宇都宮に行ったことを言うと、
「オンメエ、 2年4組のシノダ・キョウコちゃんと一緒に宇都宮に行ったってカイ? トーブ・デパートに?
いいなあ、オンメエ。 かわいいべ? キョウコちゃん。 みいんなそう言っているべヤ。
そういや、7組のアオキ、あいつ、キョウコちゃんに夢中になっちってよ、結局フラれちったけど。
他にも何人かいるべ、あの子に気があんの。
で、何話ししたん? キョウコちゃんと。 今度どっかで会うべ、とか言ったんカイ?
え? ほとんどしゃべんネかった? なんでヨ?」
どうやらかなりモテる子のようでした。
先生たちの会話
ナカムラ君は、聴くとはなしに、前を歩いている先生たち二人の会話を聴いてしまいました。
話の感じからすると、その男性もどこかの学校の美術の先生のようです。
しかしどうもその男性と話している時の沖山先生は、今まで彼の知る沖山先生とはだいぶ違う感じでした。

あくまで聴き手に
沖山先生は、前にも言ったとおり、ナカムラ君たち生徒の前では乱暴とも言える男性的な話し方で、また常に自信を持って断定的に話し、曖昧な言い方は殆んどしませんでした。
でも、この時の沖山先生の言葉は全然そんな感じではありません。
何といっても沖山先生は、あくまで聴き手になっていて、あまり自分の考えや、意見を言っているようではありません。
その男性の考えを尊重しているというのか、要するに”立て”ている感じです。
そして、何といってもその声そのものが、いつも聴いているあの沖山先生の声とは違っています。
彼は、こんな沖山先生今まで見たことがありません。
「ねえ、これ、どう思う?」
「ウウン、まあ、いいんじゃないかな。 質感とかはよく出ているね。 でもちょっと構成、弱いかな。 上手だけどね。 僕はそう思うね」
「そう、やはりそう思う? じゃあ、こっちはどう?」
「ウン、こっちの方がいいよ、絶対にね。 表現が強いし、勢いもあるね。 こういう表現なんか、なかなか出来ないと思うよ」
「そうね、確かに力強いね」
聴いてはいけない大人の会話
・・・・・なんだか沖山先生の声は、いつもの声と違っている。 沖山先生もやっぱり女性なのかな・・・・
ナカムラ君はそんな風に思い、ちょっとくすぐったいような違和感というのか、あるいは聴いてはいけない大人の会話を聴いているような感じというのか。
そんな気がして、前を歩いている先生たちとの距離を少しとりました。
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