バッハ:無伴奏チェロ組曲 1
「アリア」 や 「ブランデンブルク」 を知る前に
今回から始まるこのテーマですが、まずは作品についての話から始めましょう。
個人的な話から始めますが、私がこのバッハの無伴奏チェロ組曲を知ったのは大学以年生の時、ギター合奏で第6番の「ガヴォット」をやった時だったと思います。
それまでバッハなどというと、中学校の音楽室にあった肖像画くらいしか知りませんでした。
バッハの有名な曲というと、他にもたくさんあるので、何もシブイ無伴奏チェロ組曲から入らなくてもよいのに、いきさつ上、こんな曲から入ることになりました。
また、何もわからないうちに 「シャコンヌ」 なども聴いた話も以前書きました。
バッハの曲として一般に知られている 「ブランデンブルク協奏曲」 や 「アリア」 、 「主よ人の望みの喜びよ」 などを知るのはその後ということになります。

高校生の頃までは、バッハは音楽室の肖像画でしか知らなかった
なんでわざわざ無伴奏って書くの?
ところで、最初のうちは、この「無伴奏チェロ組曲」の、 「無伴奏」 と書かれている意味がよくわかりませんでした。
チェロ1台で演奏しているのだから、別にただの「チェロ組曲」でいいんじゃないか、ギターの場合、伴奏なんかなくても 「無伴奏ギター曲」 なんて聞いたことがないし・・・・・ とちょっと疑問でした。
クラリネット5重奏曲って、クラリネット5本じゃないの?
さらに、「ヴァイオリン・ソナタ」 というのに、なんでピアノが入るのかとか、
また なんで 「クラリネット5重奏曲」 は5本のクラリネットじゃなくて、1本のクラリネットとヴァイオリンやチェロなどなのか、
「交響曲第5番嬰ハ短調」 なんて、なんでいちいち調の名前をいうの? その前に ”嬰” って何?
クラシックの曲名は、ホントにわかりにくいですね。
カッコつけてるだけじゃないと思うけど
しかし、よくわからなくても、「無伴奏」 なんて肩書が付くと、なんか凄そうで、いかにもクラシック音楽っていうか、名曲だなって感じがしますね、ナンカ格調高くて。
でもカッコつけるためだけの理由で付けている訳じゃなさそうだし・・・・・・
ギターしかやっていないから?
でも、こうした疑問は私がそれまでギターしかやっていなかったからですね。
ヴァイオリン、チェロ、フルートなどの旋律楽器をやっている人だったら、「ナントカ・ソナタ」には必ずピアノが付くということに、何の疑問も持たないでしょう。
ギターは通常一人で弾きますが、ヴァイオリンやフルート、そしてチェロなどの場合は、基本的に単旋律楽器ですから、当然伴奏が付く訳です。
音楽はメロディだけでは成り立たない、なんて音楽の授業でやりましたね。
「ヴァイオリン・ソナタ」 も、正式な名称としては 「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」 となるわけですが、 ピアノは当然付くものなので、いちいち 「ヴァイオリンとピアノ」とはいわないわけです。
バッハの時代はピアノではなく通奏低音
バッハの時代では伴奏はピアノではなく、チェンバロ、あるいは通奏低音ということになります。
従って、バッハの時代に 「チェロ・ソナタ」 あるいは 「チェロ組曲」 というと通常、チェロとチェンバロ、場合によっては 「通奏低音」 ということでさらにチェロが1本、つまり2本のチェロとチェンバロということもあります。
そういったことで全く伴奏なしでチェロを演奏することはたいへん特殊な場合ということになります。
もちろんヴァイオリンやフルートの場合も同じです。
当然のことを書いてしまったが
当たり前のことを書いてしまいましたが、要するにバッハはたいへん ”特殊な” 曲を書いたということです。
「シャンコヌ」 の記事でも書きましたが、バッハの同時代に、このようなヴヴァイオリンやチェロのための無伴奏作品を書いた人がいるかどうかということですが、皆無ではありませんが、少ないのは確かです。
ヴァイオリンの作品ならテレマンにも無伴奏の作品が残されていて、現在CDでも聴くことが出来ますが、チェロとなるとどうでしょうか、私自身では聴いたことがありません。
伴奏者のギャラを節約するため?
では、どうしてそんな特殊な曲をバッハが書いたかということですが、それはたいへん難しいところですね、やはりバッハ本人に聞いてみるしか・・・・・・・・
ともかくバッハはそういう人だったとか言うしかないでしょうね。
あるいは自分以外の誰もやらない、あるいは出来ないことだから、などという理由はちょっとあるかも知れません。
え、 伴奏者のギャラを節約するために無伴奏で書いた? まさか! 確かにバッハは結構ケチだったというけど・・・・・・・・
”伴奏付き” も存在する
話がそれてしまいましたが、バッハにはこの無伴奏チェロ組曲の他に、”伴奏付き” のチェロ曲も書いています。
といっても正確にはチェロに若干近い 「ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための3つのソナタ」 ですが、チェロでも演奏されます。
こちらは伴奏が付く分、メロディは歌いやすく、無伴奏の方に比べ、美しく、たいへん聴きやすい曲となっています。

シュタルケルの「3つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ」。 たいへん美しく聴きやすい曲だが、残念ながら無伴奏チェロ組曲の圧倒的な存在感の前に影が薄くなっている。
にもかかわらず、今現在人気度としては無伴奏曲のほうがずっと高いのは確かです。
というより、無伴奏チェロ組曲はよく聴くけど、この伴奏付きの 「3つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ」 なんて知らない、という人も決して少なくないのではと思います。
かならずしも耳になじみやすい音楽のほうが親しまれるわけではないようですね、それだけこの 「6つの無伴奏チェロ組曲」 のインパクトは強いと言えるのでしょう。
「アリア」 や 「ブランデンブルク」 を知る前に
今回から始まるこのテーマですが、まずは作品についての話から始めましょう。
個人的な話から始めますが、私がこのバッハの無伴奏チェロ組曲を知ったのは大学以年生の時、ギター合奏で第6番の「ガヴォット」をやった時だったと思います。
それまでバッハなどというと、中学校の音楽室にあった肖像画くらいしか知りませんでした。
バッハの有名な曲というと、他にもたくさんあるので、何もシブイ無伴奏チェロ組曲から入らなくてもよいのに、いきさつ上、こんな曲から入ることになりました。
また、何もわからないうちに 「シャコンヌ」 なども聴いた話も以前書きました。
バッハの曲として一般に知られている 「ブランデンブルク協奏曲」 や 「アリア」 、 「主よ人の望みの喜びよ」 などを知るのはその後ということになります。

高校生の頃までは、バッハは音楽室の肖像画でしか知らなかった
なんでわざわざ無伴奏って書くの?
ところで、最初のうちは、この「無伴奏チェロ組曲」の、 「無伴奏」 と書かれている意味がよくわかりませんでした。
チェロ1台で演奏しているのだから、別にただの「チェロ組曲」でいいんじゃないか、ギターの場合、伴奏なんかなくても 「無伴奏ギター曲」 なんて聞いたことがないし・・・・・ とちょっと疑問でした。
クラリネット5重奏曲って、クラリネット5本じゃないの?
さらに、「ヴァイオリン・ソナタ」 というのに、なんでピアノが入るのかとか、
また なんで 「クラリネット5重奏曲」 は5本のクラリネットじゃなくて、1本のクラリネットとヴァイオリンやチェロなどなのか、
「交響曲第5番嬰ハ短調」 なんて、なんでいちいち調の名前をいうの? その前に ”嬰” って何?
クラシックの曲名は、ホントにわかりにくいですね。
カッコつけてるだけじゃないと思うけど
しかし、よくわからなくても、「無伴奏」 なんて肩書が付くと、なんか凄そうで、いかにもクラシック音楽っていうか、名曲だなって感じがしますね、ナンカ格調高くて。
でもカッコつけるためだけの理由で付けている訳じゃなさそうだし・・・・・・
ギターしかやっていないから?
でも、こうした疑問は私がそれまでギターしかやっていなかったからですね。
ヴァイオリン、チェロ、フルートなどの旋律楽器をやっている人だったら、「ナントカ・ソナタ」には必ずピアノが付くということに、何の疑問も持たないでしょう。
ギターは通常一人で弾きますが、ヴァイオリンやフルート、そしてチェロなどの場合は、基本的に単旋律楽器ですから、当然伴奏が付く訳です。
音楽はメロディだけでは成り立たない、なんて音楽の授業でやりましたね。
「ヴァイオリン・ソナタ」 も、正式な名称としては 「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」 となるわけですが、 ピアノは当然付くものなので、いちいち 「ヴァイオリンとピアノ」とはいわないわけです。
バッハの時代はピアノではなく通奏低音
バッハの時代では伴奏はピアノではなく、チェンバロ、あるいは通奏低音ということになります。
従って、バッハの時代に 「チェロ・ソナタ」 あるいは 「チェロ組曲」 というと通常、チェロとチェンバロ、場合によっては 「通奏低音」 ということでさらにチェロが1本、つまり2本のチェロとチェンバロということもあります。
そういったことで全く伴奏なしでチェロを演奏することはたいへん特殊な場合ということになります。
もちろんヴァイオリンやフルートの場合も同じです。
当然のことを書いてしまったが
当たり前のことを書いてしまいましたが、要するにバッハはたいへん ”特殊な” 曲を書いたということです。
「シャンコヌ」 の記事でも書きましたが、バッハの同時代に、このようなヴヴァイオリンやチェロのための無伴奏作品を書いた人がいるかどうかということですが、皆無ではありませんが、少ないのは確かです。
ヴァイオリンの作品ならテレマンにも無伴奏の作品が残されていて、現在CDでも聴くことが出来ますが、チェロとなるとどうでしょうか、私自身では聴いたことがありません。
伴奏者のギャラを節約するため?
では、どうしてそんな特殊な曲をバッハが書いたかということですが、それはたいへん難しいところですね、やはりバッハ本人に聞いてみるしか・・・・・・・・
ともかくバッハはそういう人だったとか言うしかないでしょうね。
あるいは自分以外の誰もやらない、あるいは出来ないことだから、などという理由はちょっとあるかも知れません。
え、 伴奏者のギャラを節約するために無伴奏で書いた? まさか! 確かにバッハは結構ケチだったというけど・・・・・・・・
”伴奏付き” も存在する
話がそれてしまいましたが、バッハにはこの無伴奏チェロ組曲の他に、”伴奏付き” のチェロ曲も書いています。
といっても正確にはチェロに若干近い 「ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための3つのソナタ」 ですが、チェロでも演奏されます。
こちらは伴奏が付く分、メロディは歌いやすく、無伴奏の方に比べ、美しく、たいへん聴きやすい曲となっています。

シュタルケルの「3つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ」。 たいへん美しく聴きやすい曲だが、残念ながら無伴奏チェロ組曲の圧倒的な存在感の前に影が薄くなっている。
にもかかわらず、今現在人気度としては無伴奏曲のほうがずっと高いのは確かです。
というより、無伴奏チェロ組曲はよく聴くけど、この伴奏付きの 「3つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ」 なんて知らない、という人も決して少なくないのではと思います。
かならずしも耳になじみやすい音楽のほうが親しまれるわけではないようですね、それだけこの 「6つの無伴奏チェロ組曲」 のインパクトは強いと言えるのでしょう。
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