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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

中村俊三 新春コンサート 


  1月20日 14:00  ひたちなか市アコラ



 今日 「中村俊三 新春コンサート」 を行いました。 今月に入ってからすぐに席は満席となっていて、その後予約を申し込まれた方は、残念ながら聴いていただくことが出来なくなってしまいました。

 結果的には何人か直前にキャンセルされた方がいて、入場可能だったようです。 

 私の友人他、東京など、たいへん遠方から来ていただいた人も多く、本当にありがとうございました。 

 演奏終了後には、たいへん暖かい拍手をいただきましたが、演奏を楽しんでいただけたら何よりです。

 2か月ちょっと前くらいにこのコンサートのお話をいただいたのですが、本来であれば準備期間も短いので、これまで弾いたことのある曲を中心にプログラムを構成すべきところだったと思います。

 しかしやはりコンサートとなると、コンサートとしてのまとまりや、面白さのほうを優先することになって、結果的には若干無理なプログラムになってしまったかも知れません。

 「チェロ組曲第1番」は10年くらい前にも、ここで演奏させていただきましたが、その時よりはいろいろな点でだいぶ良くなったかな、と自分では思っています。

 いずれにしても、もっと精度を上げて、近いうちにもう一度これらの曲を演奏したいと思います。 

 この2年ほどCD製作の方に気持ちが行っていたので、これからまたコンサートの方に重点を置こうかなと思っています。  

 なお、今日の演奏曲目は以前書きましたプログラムどおりですが、アンコール曲として自作の「ショリーニョ」を演奏しました。

 
中村俊三 新春コンサート 曲目解説

  1月20日(日) 14:00 ひたちなか市アコラ



アウグスティン・バリオス : 大聖堂

 Ⅰ プレリュード(郷愁)
 Ⅱ 敬虔なアンダンテ
 Ⅲ 荘重なアレグロ




トリは人気の名曲で

 コンサートの最後はバリオスの大聖堂です。 この曲はクラシック・ギターにおいては今や押しも押されもしない名曲中の名曲といえるでしょう。

 対象をクラシック・ギター愛好家に絞れば、その人気は 「アランブラの想い出」 以上とも言え、コンサートを締める、いわゆる ”トリ” としてふさわしい曲と思います。



プレリュードは後から追加された

 この曲は上記のように3つの楽章で構成されますが、当初はⅡとⅢのみの形で作曲され、バリオス自身もその二つの楽章で録音しています(初期のSP盤なので音質はかなり悪い)。

 Ⅰのプレリュードは別に作曲された曲だそうですが、晩年にバリオス自身で、このプレリュードが大聖堂(二つの楽章の)によく合うということで、組み合わされました。

 最近ではこの曲はほとんどの場合、この3楽章の形で演奏されますが、1960年代頃はバリオスの録音のように2楽章で演奏されることが多かったようです。

 たいへん美しい響きのプレリュード、趣のあるアンダンテ、華麗なアレグロと、この3つの楽章の組み合わせはまとまりも良く、聴きごたえ十分で、やはりベストな組み合わせでしょう。

 しかし何といっても最後のアレグロを華麗に演奏するのはたいへん難しいところでしょう。




小説「マチネの終り」にも登場する

 大聖堂といえば、しばらく前に紹介した天才ギタリスト蒔野聡史を主人公とした平野啓一郎の小説 「マチネの終りに」 に登場します。

 その小説の中で、蒔野聡史はステージ上でこの曲のアレグロの後半で、行き先がわからなくなってしまい、立ち往生してします。 



まさに悪夢

 好きな女性の事が頭をよぎってということですが、私たち音楽をやるものにとっては、これはまさに悪夢で、想像するだけで大変恐ろしいことです。

 実際に私もステージ上で頭が真っ白になって、全くその先が弾けなくなる夢を時々見ます。 本当にうなされる感じですが、目が覚めて、今のは夢だったと思うと、本当にほっとします。 でも心臓はパクパクしてたりなんかして・・・・・

 場合によっては具体的に譜面上のどこのところでわからなくなった、なんてことをはっきり記憶している場合もあります。

 もちろんそんな時には夜中でも起きて譜面を確認します。

 幸にも、少なくともこれまではリアルなステージでは経験はありません。




くわばら、くわばら

 でもブラック・ホールというか無重力状態というか(全く正反対のものだが)、そんな状態におちいる可能性はいつでもあるので、今回そんなことにならなければ・・・・・・・    

 くわばら、くわばら・・・・・    まあ、特に好きな女性はいないので大丈夫か・・・・・
 
中村俊三 新春コンサート 曲目解説

    1月20日(日) 14:00  ひたちなか市アコラ




フェルナンド・ソル : 序奏と 「私が羊歯だったら」 による主題と変奏 作品26



あの娘が敷いて座っている羊歯になりたい?


 ソルには 「モーツァルトの『魔笛』による主題と変奏」、 「『マールボロは戦争に行った』による主題と変奏」 などの変奏曲を書いています.。

 この「私が羊歯だったら」の変奏曲は、それらよりも若干 ”小ぶり” なもので、序奏も短く、変奏も4つで、コーダもなく、第4変奏がコーダの代わりとなっています。

 主題となった「私が羊歯だったら」 という曲は当時フランスで流行した歌だそうです。 

 「私が、あの娘がその上で体を休める羊歯だったらいいのに」 といったような歌のようです。 



しっとりとしたテーマで、最後は軽快に

 序奏とテーマはイ短調で 「アンダンテ・ラルゴ」 と書かれ、しっとりとした曲ですが、第1、2変奏は若干速めのテンポを取るのではないかと思います。

 第3変奏は長調に変わり、「レント・カンタービレ」と書かれ、よりゆっくり歌うようにとされています。

 第4変奏は、前述の通りコーダの代わりともなっているので、「アンダンテ・アレゴロ」と書かれ、速めのテンポをとることが指示されています。

 コンパクトにまとまっていて、なかなか聴きやすいだと思います。







エイトール・ヴィラ=ロボス : ブラジル民謡組曲
  
  マズルカ・ショーロ
  ショティッシュ・ショーロ
  ワルツ・ショーロ
  ガヴォット・ショーロ
  ショリーニョ  




ヴィラ=ロボスはかなりの多作家

 私たちギターをやるものにとって、ブラジルの作曲家、エイトール・ヴィラ=ロボス はたいへん馴染みのある作曲家です。

 ヴィラ=ロボスのギター作品はそれほど多くなく、独奏曲だけならCD1枚に収まってしまうくらいですが、ヴィラ=ロボスの残した作品は、交響曲などのオーケストラ曲から室内楽、協奏曲、ピアノ曲、各種器楽曲、声楽曲と多岐にわたり、ほぼクラシック音楽のほとんどのジャンルを網羅しています。

 作品の総数も多く、多作家の一人といえるでしょう。 

 またその作風もブラジル音楽一辺倒ではなく、ロマン派的なものから印象派的なもの、あるいはストラヴィンスキー的なものまで、たいへん幅広く、なかなか一言では説明できない作曲家だと思います。




「ブラジル民謡組曲」は比較的初期の作品


 この5曲のショーロからなる 「ブラジル民謡組曲」 は1908~1912年にかけて作曲され、ヴィラ=ロボスのギター曲としては初期の作品です。

 ヴィラ=ロボスはリオデジャネイロの出身で、小さい頃から正統的な音楽を学びましたが、若い頃よりブラジルの民族音楽には強い興味を持っていたそうです。

 ヴィラ=ロボスは後にフランスで音楽を学び、印象派、あるいは近代の音楽の影響を受け、ギター曲でも 「12の練習曲」=1929年作曲 などはそうした影響がみられます。

 そういった意味では、この 「ブラジル民謡組曲」 は作曲技法的には、まだ古典的、あるいはロマン派的な音楽の範疇に入ると思われます。




ヨーロッパの音楽とブラジル音楽の融合

 「ショーロ」とは19世紀においてブラジルのポピュラー音楽、あるいはそれを演奏する楽団を意味する言葉で、この組曲においては、その言葉に、ヨーロッパ各地の舞曲である「マズルカ」、「ワルツ」、「ガヴォット」などの言葉がかぶせられています。

 ブラジルの民族音楽とヨーロッパの伝統音楽の融合といったところでしょうか。

 因みに 「ショティッシュ」 とはスコットランド風と言った意味です。

 実際に聴いた感じでは、あまりブラジル的な感じはせず、通常のクラシック音楽、つまりヨーロッパ的な音楽といった感じがします。

 もっとも、ヴィラ・ロボスの場合、ブラジル的といってもサンバとかボサ・ノバとかといったものではなく、アマゾンの奥地に住む原住民の音楽からインスパイアーされたものであるようです。

 一般にブラジル音楽というと、軽快なリズムが特徴ですが、ヴィラ=ロボスの ”ブラジル” は力強く、始原的なエネルギーに満ちたものと言えるでしょう。




「ショリーニョ」 は小さなショーロ


 5曲目の「ショリーニョ」ですが、意味としては 「小さなショーロ」、 あるいは「ショーロぽい曲」 といったものですが、この曲のみ、確かに私たちが知っているブラジル的な音楽になっています。

 つまりシンコペーションが多く、軽快なリズムの曲となっている訳です。 ただし軽快なテンポなのは中間部のみで、その前後にはシンコペーションは多用しているものの、ゆっくりとしたテンポで演奏されます。



ジュリアン・ブリームはこの曲のみ録音しなかった

 かつてジュリアン・ブリームは 「音楽的効果が低いから(つまり内容がイマイチだから)」 といった理由でこの曲をレコーディングしませんでした。

 おそらくブラジルのポピュラー音楽ぽいところがブリームにとっては拒絶反応に繋がったのでしょう。 

 しかし今現在のクラシック・ギター愛好家も、またギタリストも南米系のポピュラー音楽には日頃から馴染むようになっていて、最近ではそうした違和感を感じる人は少なくなったのではと思います。 



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ジュリアン・ブリームの1978年のLPで、ヴィラ=ロボスの「12の練習曲」と「ブラジル民謡組曲」を収録しているが、「ショリーニョ」だけは外している。 収録時間の問題ではなく、明らかに”嫌って”いる。

 


どこかで聴いたことがある

 さて、この ”ノリのよい中間部” ですが、以前からどこかで聴いたことがあって、その時には 「ヴィラ=ロボスはここからメロディを持ってきたのかな」 と思っていたのですが、いつの間にか、それがどの曲だか忘れてしまいました。

 私が持っているCDの中にあるのは間違いないので、心当たりをいろいろ探していたのですが、やっと見つかりました。

 それはソプラノ歌手のキャスリン・バトルとギタリストのクリストファー・パークニングが1985年に録音したCDでした。

 この中にヴァルジマール・エンリーケ作曲の「ボイ・ブンバ」という、ブラジルのポピュラー・ソングが含まれ、そのメロディがショリーニョの中間部によく似ている訳です。

 完全に同じではありませんが、無関係でもないでしょう。
 
 しかしこのエンリーケという作曲家は1905年生まれだそうで、ヴィラ=ロボスがエンリーケの曲を引用したということではなさそうです(その逆も考えにくい)。

 おそらくこのメロディはその当時(20世紀初頭)ブラジルでく流行っていたメロディで、それを基に、二人のが別個に作曲したということなのではないかと思います。 


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キャスリーン・バトル(ソプラノ)とクリストファー・パークニングが共演した1985年のCD。 この中の「ボイ・ブンバ」がショリーニョの中間部によく似ている。




当ブログだけの耳よりの情報

 因みに、この話、CDの解説やウィキペディアなどには載っていないので、当ブログだけの耳よりの情報です!

 
中村俊三 新春コンサート  曲目解説


     1月20日(日) 14:00 ひたちなか市アコラ



J.S.バッハ : 無伴奏チェロ組曲第1番(中村編)



バッハの曲をギターで弾く場合は

 バッハの作品の作品をギターで演奏するということは、今や特別なことではなく、ギター・リサイタルのプログラムにおいては定位置を確保していると言ってもよいでしょう。

 しかし、バッハの作品をギターで弾くと言っても、なんでも弾いてしまう訳ではなく、ギターと言う楽器と相性の良い曲ということになります。

 ギターで演奏するバッハの曲としては、3つのカテゴリ―に属するものがありますが、まず一つはギターとたいへん近い関係にあるリュートのための作品がまず挙げられます。 

 バッハのリュートの作品は厳密にはリュートのための曲ではなく、リュートに近い音が出るチェンバロ ”ラウテンヴェルク” のための曲ですが、おそらくバッハとしては実際にリュートで演奏することも想定していると考えられるので、素直に”リュートのための作品” と考えてよいでしょう。

 これらの曲をギターで弾く場合、若干の変更(特にオクターブ関係の)の変更は必要ですが、何といっても楽器が近いので、ほぼオリジナル通りに演奏出来ます。

 次に、3曲ずつの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ、およびパルティータです。

 バッハは通常単旋律楽器であるヴァイオリンのために複旋律的な作品を書いている訳ですが、複旋律といってもやはり限定された音の使い方なので、ギターで弾くのはそれほどの困難はありません。

 ヴァイオリンの譜面をそのままギターで弾くこともできますが、ある程度低音などを追加して弾く方が一般的です。

 そしてもう一つのカテゴリーが6曲の無伴奏チェロ組曲ということになります。

 こちらも無伴奏ヴァイオリン曲と同様にチェロの譜面をそのままギターで弾くことも出来ますが、チェロ組曲はヴァイオリン曲に比べると低音や和音などは少なく、やはり低音などを補充する必要はあるでしょう。

 実際にバッハは無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番と無伴奏チェロ組曲第5番をリュートのためにアレンジしていて、そうした関係からも、これらの無伴奏ヴァイオリン、及びチェロの作品をギターで弾くことは自然なことかも知れません。

 その他のものとしては、 「主よ人の望みの喜びよ」 や「アリア」 などの有目曲をギターにアレンジして演奏されることもありますが、これらはもともと弦楽合奏(及び声楽)などの曲なので、原曲のイメージを損なわずにギターで演奏するのはかなり昔いところです。 

 またフルート・ソナタなどをアレンジして弾く人もいますが、意外と相性はいいようです。 鍵盤曲などをギターで演奏する場合もありますが、曲によってということになるでしょう。



舞踏組曲

 と言ったように、無伴奏チェロ組曲をギターで演奏するということはギター界ではよく行われていることなのですが、その中でもこの第1番は他の5曲のチェロ組曲よりも弾き易く、よく行われています。

 プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット、ジグ の6曲からなる組曲ですが、プレリュード(前奏曲)を除く5曲はすべて舞曲となっています。

 当時の「組曲」、つまり "Suite" とは基本的に舞曲を組み合わせたものを意味します。

 これらの舞曲は当時宮廷などで踊られていたのですが、これらの組曲が本当に踊るために作曲されたかどうかは疑わしいところです。

 鍵盤のための組曲などを含め、やはりバッハとしては ”聴くための音楽” として作曲したのではないかと思います。 まあ、踊れば踊れるといった感じなのでしょう。

 どちらかといえば、これらの作品が舞曲の形を取っているということは、それぞれの曲のテンポやリズムに変化を付けるためと考えられます。

 リズム的には、アルマンドのみ4拍子で、残りの4曲は3拍子系となっています。 またテンポは遅い順に サラバンド、アルマンド、メヌエット、クーラント、ジグとなります(厳密にではないが)

 チェロ組曲の他の5曲についても、5曲目のメヌエットがブレーやガヴォットに代わるだけで、ほぼ同じ組み合わせとなっていて、つまりこれらはバッハの組曲としては標準形といえます。

 しかし同時代の作曲でもヘンデルや、ヴァイス(バッハと親しかったリューティスト) などの組曲はバッハのものとは異なる組み合わせになっていて、同時代でも作曲家によって組み合わせはいろいろだったようで、 これらの形はあくまでもバッハの組曲の標準形と考えた方がいいようです。



かつてはデュアート版しかなかった

 このチェロ組曲第1番のギター編曲譜としては、かつてジョン・デュアートの編曲が知られていました。 というより1970年代くらいまでは他の編曲譜は出版されていなかったのではと思います。

 私も当初このデュアート版で弾いていたのですが、なんとなくしっくりこないというか、あるいはバッハらしくない響きが多いとか、さらには速い曲などなかなかテンポが上げにくいなど(この理由が一番大きいかな?)と気になる点も多くなり、次第に自分でアレンジするようになりました。



ゼロから編曲し直した

 当初は自分でアレンジしたと言っても、やはりこのデュアート版の影響が大きかったのですが、バッハの音楽をいろいろ勉強しいぇいるうちに、やはりデュアートのアレンジは、根本的なところでバッハの音楽とは方向性が違うと思うようになり、デュアートの影響を一掃し、ゼロから自分でアレンジし直しました。
 
 もちろん私にアレンジが優れているとか、正しいとかいうことは、私自身では何とも言えませんが、少なくとも追加した低音は私自身が理解したバッハの音楽に沿ったもので、また聴いた感じも原曲のイメージに沿ったものと思っています。

 さらに曲によっては、特にテンポの遅い曲では適宜に装飾を加えています。

 
中村俊三 新春コンサート曲目紹介


 1月20日(日) 14:00~  ひたちなか市アコラ



 20日のアコラでのコンサートも近くなってきました。 いつもの通り演奏曲目の紹介をしましょう。

 特に今回は愛好者のコンサートが長くなり、曲目紹介などは省略することになりそうなので、ブログのほうに書いておきます。

 コンサートを聴く前に読んでも、また聴いた後に読んでもいいと思います。




ジョン・ダウランド : 涙のパヴァーン



ルネサンス時代のリュート奏者

 ジョン・ダウランド(1563~1626年)はイギリス(イングランド)出身のリューティストですが、音楽史では1450~1600年をルネサンス時代、1600~1750年をバロック時代と呼んでします。

 それからするとダウランドはルネサンス時代とバロック時代の両方をまたぐ時代の音楽家といえます。

 つまりダウランドの音楽をルネサンス時代の音楽とするか、バロック時代の音楽とするかははきり決めにくいところもありますが、一般にはその作風からダウランドはルネサンス時代のリュ―ティストとされています。



同じ曲でもいろいろな形態の譜面が残されている

 ダウランドにはリュート独奏曲、リュートを含む合奏曲(コンソート)、リュート歌曲などがありますが、この「涙のパヴァーン」はその代表曲とも言え、リュート独奏曲、コンソート、リュート歌曲など、様々な形態の譜面が残されています。

 またこの曲は当時からたいへん人気の高かった曲で、演奏される機会も多く、したがって譜面も多数残されています。

 また同じ素材を用いてパヴァーンではなく、ガリアード、つまり 「涙のガリアード」 というのも存在します。

 そのように残された譜面も多岐にわたるために、現在出版されたり、演奏されているものは細部ではかなり違ったものになっていて、決定版的なものはないといえるでしょう。

 それぞれ違っていると言っても主に装飾部分が違うだけなので、大きな差はありません。 今回私が演奏するものは複数の譜面を参考にしていますが、一般的にギターでよく演奏される形となっています。



ダウランドには悲しい曲が多いが

 ダウランドの作品は、この曲のように悲しい感じの曲が多く、中には 「常に悲しむダウランド」 といった曲名の作品もあります。 

 しかし伝え聞くところによれば、本人はたいへん陽気な性格の人だったそうです。

 ちょっとしたジョークなのかも知れませんが、たいへん悲しく、美しい作品を多数書いたことは間違いありません。

 因みに 「パヴァーン」 はスペインに起源を持つ「孔雀の踊り」の意味を持つ舞曲で、フランス語では「パヴァーヌ」、イタリア、スペイン語では「パヴァーナ」となります。

 ダウランドの母国語である英語では、上記のように 「パヴァーン」 と発音されるようです。






ジョン・ダウランド : エリザベス女王のガリアード


軽快な人気曲

 エリザベス女王といっても、もちろん1世(1558~1603)の方です。

 ダウランドの作品はこのように貴族や王族の名前が付けられていますが、直接本人に献呈したのでしょうか? そのあたりは私もよくわかりません。

 エリザベス1世といえば、スペインの無敵艦隊を破り、イギリスがスペインに代わって世界の海を支配するきっかけを作った女王としても知られていますね。

 曲の方は比較的短く、軽快な曲で、ダウランドの作品の中でも特に人気のある曲です。