中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ブレーと言えば


 ブレーと言えば、逆の例(前回の記事の)もあります。 これは19世紀のギタリスト、ナポレオン・コストが編曲した17世紀のフランスのギタリスト、ロベルト・ド・ヴィゼーの組曲ニ短調からブレーとガヴォットです。




IMG_20170212130142351.jpg
ナポレオン・コスト編 ド・ヴィゼーの組曲ニ短調よりブレー  見た感じ、あるいは聴いた感じではガヴォット?





IMG_0001_20170212130219251.jpg
同ガヴォット 上のブレーとほとんど同じでは?





たまには例外も?

 たいへんよく似ていますね、どちらも比較的テンポの速めの舞曲なので(ブレーの方がちょっと速いかな)、なおさら同じ感じに聴こえてしまいます。 下のガヴォットの方は1,3拍目にアクセントがきやすい形になっているので、確かに下のガヴォット風とは言えます。

 前回の記事で、「ブレーは予備拍が1拍」 と言いましたが、御覧のとおり、このブレーは2拍あります。 たまには例外もあるのかなと言いたいところですが、原曲に近い現代譜(カール・シャイト編)では次のようになっています。





本当はこうなっている


IMG_0002_2017021213124420d.jpg
オリジナルに比較的近いと言われるカール・シャイト編のブレー  やはりオリジナルではアウフタクトが1拍になっている





IMG_0003_20170212131309fd6.jpg
同ガヴォット  基本的にはコスト編と変わらず、聴いた感じでは両者はそれほど違いはない、それならあえて変更しなくても? 特にに弾きやすくなっているわけでもないし。







19世紀には、もうブレーがどういう曲なのかわからなくなっていた?

 これでわかりましたね、コストがブレーの最初の2つの8分音符を4分音符に変えてしまったと言う訳です。 8分音符で始まるのは、どうも窮屈、4分音符で始まった方がずっと流れがいいじゃないかと。 そんなことかなと思います。

 この頃(19世紀半ば)には、もうすでにブレーがどういう舞曲だったかということはわからなくなっていたのですね。 もっともブレーが4分音符1個分の予備拍を持つなどということはバロック時代でも、ごく少数の宮廷人の間にだけ常識だったのでしょう。 





禁じられた遊びにも出てくる曲だが

 このブレーは例の映画 「禁じられた遊び」 でイエペスが弾いている曲です。 私たちの年代でしたら、この曲をイエペスの演奏で知ったと言う人も多く、この4分音符で始まるコスト編のほうが聴きなじみがあり、かえってオリジナルの8分音符で始まる方が違和感があるかも知れませんね。





yepes01_201702161338222d1.jpg

映画「禁じられた遊び」の中では、ヴィゼーのサラバンドとブレーはメイン・テーマ(ルビラ作曲)と同じくらい頻繁に出てくる。 この映画を一度でも見たことのある人なら、このヴィゼーのブレーは、曲名などはわからずとも、自然と覚えてしまっているのでは。 もちろんコスト編で。





セゴヴィアの影響?

 イエペスがコスト編を弾いていたのは、おそらくセゴヴィアの影響でしょう。 セゴヴィアはこのニ短調組曲をほぼ全曲演奏していますが、このブレーはコスト編を用いています。

 セゴヴィアは、この組曲の他の曲についてはオリジナルの譜面を使っていると思われますが、このブレーに関しては、おそらく若い頃からコスト編に馴染んでいて、コスト編で演奏したのでしょう。





バロック音楽、あるいはバッハの曲では例外なくブレーのアウフタクトは1拍


 ブレーもガヴォット同様、バロック時代においてはアウフタクトが1拍と決められ、ほとんど例外はありません。 少なくとも私が知る限りではそうなっています。





IMG_201702161343302b4.jpg
ディユアート編のバッハ:チェロ組曲第3番のブレー





IMG_0001_2017021613435802d.jpg
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番のテンポ・デ・ボレア(ブレーのテンポで)





IMG_0002_2017021613442620a.jpg
リュート組曲第1番のブレー。 以上のようにバッハの作品の場合は、例外なくブレーは4分音符1個、または8分音符2個になっている。





21世紀的には、教材として用いるのは問題

 このド・ヴィゼーのブレーを含むコスト編のドヴィゼーの 「6つの小品」 は現在でもギター教室の教材としても用いられています。確かに魅力的な曲が多いのですが、21世紀の今日としては、これを教材として用いるは、やはり問題あるでしょう。 他に本来は1曲であるはずのメヌエットⅠ、Ⅱを別々の曲扱いとしています(セゴヴィアもそれに従って演奏している)。
何か、ちょっと引っかかる



ポンセの 「組曲イ短調(伝ヴァイス)」


 最近ポンセの 「組曲イ短調」 から 「ガヴォット」 のレッスンをしています。  私たちの年代のギター・ファンにとっては 「ヴァイスの組曲」 と言った方がピンとくるかも知れません。

 20世紀前半のメキシコの作曲家、マヌエル・ポンセがアンドレス・セゴヴィアの為にバロック風に作曲した曲で、発表の際にはポンセ作ではなく、バロック時代のドイツのリューティスト、シルビウス・レオポルド・ヴァイスの名で発表しました。



Maurice_Ravel_1925.jpg
アンドレス・セゴヴィアとは親交が深ったマヌエル・ポンセ、 なかなかのダンディ。



バッハだとバレそうなので

 もっとも、この件については、演奏者のセゴヴィアの意向が強く働いたようで、ポンセとセゴヴィアの信頼関係はたいへん強く、ポンセのギターの作品については、その管理から演奏、出版に至るまで、すべてセゴヴィアにまかせていたようです。

 当初はこの組曲を「バッハ作曲」として発表する考えもあったようですが、さすがにバッハについては1930年代でもかなり詳しく研究されていて、すぐにバレるだろうということで、当時知る人しか知らなかった(当然だが)バッハと同時代のリューティストのヴァイスにしたと言われています。



ブログ 053
元々はリョベットとポンセが親しかったようだが、そのリョベットの跡を継ぐ形でセゴヴィアがポンセと親交を深めるようになったのかも。



ポンセはヴァイスなんて知らなかった?

 当時は、シルビウス・レオポルド・ヴァイスの音楽を知る人も、またその名を聴いたことのある人も、ごく限られていたのでしょう。 このヴァイスの名にしたことについては、おそらくセゴヴィアの考えに従ったものでしょう、もしかしたらポンセはヴァイスなんて知らなかったかも知れません。



こうした作品は出版しなかった

 前述のとおり、セゴヴィアはポンセのギターの作品の出版にも深く関わったわけで、当時ポンセのギター作品はすべてセゴヴィア経由で出版されていました。 ポンセは他にも何曲かヴァイスやアレクサンドロ・スカルラッティ(有名なスカルラッティの父親)などの名で作品を書いていますが、それらの作品はすべてセゴヴィアの手からは出版されませんでした。




巨匠はぶれない
 
 また、セゴヴィアは 「組曲イ短調」 などが明らかにポンセの作品だと言われるようになってからも、最後の最後までこれらの作品をあくまで ”ヴァイス作曲” として演奏していました。 本当に巨匠はぶれない! だから巨匠! まるでデーモン小暮?




訳アリの出生だが

 と言ったように、その出生についてはいろいろ訳アリではありますが、この 「ガヴォット」 はなかなか魅力的な曲で、隠れた(?)名曲といえます。 私もこの組曲を、いずれちゃんと演奏してみたいと思っているのですが、今のところまだ実現していません、なんとか近いうちには・・・・




若い頃聴きに行ったコンクールの課題曲になっていた

 この曲で思い出すことと言えば、私が20歳をちょっと過ぎた頃(まだ学生だったような)、コンクールに挑戦してみようと思い、とりあえず聴きに行ったコンクールの課題曲となっていました。

 その時までこの曲を聴いたことがなかったのですが、二次予選だったので、2~30人くらいの演奏を続けて聴きました。 ただし、その当時の私にはどういいう演奏が良くて、どういう演奏が良くないか、ほとんどわからず、誰が予選を通るのかなど、全く予想がつきませんでした。





結局私がコンクールに出ることはなかった


 そのコンクールを聴いた結果、はっきりわかったことは、自分の実力はまだまだコンクールに出場するレヴェルには達していないということでした。 その後2回ほどコンクールの出場申し込みをした覚えがありますが、直前になると全く自信を失い、結局のところ、私がコンクールに出場することは、その後一度もありませんでした。

 


心苦しい

 しかし経験と言った意味では、コンクールの結果が必ずしも実力を反映するわけではないことを踏まえつつも、やはりやって置けばよかったのは確かなことで、今では大いに反省しています。 そんな私が仮にもシニア・ギター・コンクールの審査員などやっているのはたいへん心苦しい!




話がそれたが

 さて、話があれこれ行ってしまいましたが、このガボット、以前から何か引っかかっていて、何となくこの曲、ガボットらしくないな と思っていました。 もともと”本物”のバロック音楽ではないのだからガボットらしくないのは当たり前かもしれないのですが、一番の問題は、その冒頭にあるようです。


 
IMG_20170210190318698.jpg
ポンセの 「組曲イ短調」 の 「ガヴォット」   予備拍が1拍 (8分音符2個) となっている。 曲的にはガヴォットではなくブレー。
 



基本的にガヴォットは予備拍が2拍

 若干杓子定規で恐縮ですが、バロック時代では、ガヴォットは基本的に4分音符で2泊分のアウフタクト(予備拍)を持つことになっています。 そして4分の4拍子ですが、1拍目と3拍目にアクセントが付き、2拍子のようにも聴こえます。 バッハを始め、バロック時代の作曲家はほとんどこのようにガヴォットを作曲しています。




IMG_0001_20170210190346b09.jpg
バッハのリュート組曲第4番の「ロンド風ガヴォット」  四分音符二つの予備拍がある




IMG_0002_201702101904168bc.jpg
バッハのチェロ組曲第6番のガヴォット



IMG_0003_20170210190452c2b.jpg
バロック時代フランスのギタリスト、ロベルト・ド・ヴィゼーの組曲ト短調(この曲はト長調)のガヴォット  同様に予備拍2拍




IMG_0004_2017021019063317f.jpg
バロック時代、イタリアのギタリスト、ルドビーコ・ロンカルリの 「組曲ホ短調」 のガボット。 このように私の知る限りでは、バロック時代のガヴォットはすべて予備拍が2拍になっている。




ポンセのガヴォットはブレーに聴こえる

 バロック時代の舞曲はそれぞれ予備拍には決まりがあり、ガヴォットは2拍、同じく速い4分の4拍子の舞曲であるブレーは1拍(4分音符1個分)の予備拍を持ちます。 したがって、ポンセのガヴォットをバロック時代の音楽に詳しい人、あるいは当時の人などが聴いたら、おそらくガヴォットではなく、ブレーに聴こえるでしょう。
楽譜制作ソフト 7 Scoremakere




楽譜認識



たいへん便利な機能だが

 これらのソフトは印刷されている楽譜をスキャンすることにより、データを取り込むことが出来ます。 確かにこれが出来れば、既存の楽譜を、いちいち手打ちする必要がなくなるので、たいへん便利です。




なかなか完全にはスキャン出来ない

 しかし、実際にやってみるとやはり完全に読み取るjことは出来ず、たいていの場合不完全なものになります。 しかし仮に不完全なものであっても、ある程度読み取ってくれれば、あとは手で修正するだけなので、一から打ちこむよりはだいぶ手間は省けます。
 
 Finale でやってみたところ、小節線がなくなっているなどかなり不完全なものになってしまっただけでなく、それを修正することがなかなか出来ず、結局使い物にはなりませんでした。




 Scoremaker は比較的修正しやすい

 Scoremaker では同様に不完全なものでしたが、修正は出来たので、一応使えると思います。 しかし指番号が♭として認識されてしまったり、丸以外の音符は音符として認識されなかったり、誤認識はかなりあるので、使う時にはかなり注意が必要です。

 おそらく、単旋律などの比較的簡単な楽譜だと十分にその機能を発揮するのかも知れません。 この機能がどれだけ実用的なのかはいろいろ使ってみないとわからないところもあります。




再生


 再生に関しては、最近のソフトはかなりよく出来ていると思います。 もしかしたらそのことにこだわるので、譜面の書き方やレイアウトが自由に出来ないようになっているのかも知れません。 しかし、どのソフトも肝心のギターの音に関しては、私のイメージとはずいぶん違うようです。




強弱記号やリタルダンドなども再生に反映される

 このScoremaker では、再生の際、ピアノやフォルテなどの強弱記号、およびクレシェンド、ディミヌエンド、リタルダンドなどがそのまま効果として音に表れます。 これもたいへん便利ではありますが、若干こだわれば、こうした曲想に関することは非常に感覚的なものなので、想像力を働かせるほうが重要かなとも思います。





久々にMusic Time を使ってみて


 この1か月ほどいろいろなソフトを使っていたのでが、そろそろ今年合奏でやる楽譜を作らないといけないので、久々にMusic Time を使いました。 XPの入ったパソコンが使える間はなんとか使えます(テキストボックスが開けないが)。 



使い慣れているだけに作業は速い

 今回は以前に編曲した「くるみ割り人形組曲」の数曲を、今回のメンバーに合わせて改編したわけですが、使い慣れているだけに作業は速いですね。 ほぼ2日で3曲編曲し直しました。 もっともさらによく見直してパート譜を作ったり、運指を入れたりしないといけないので、かえってこれからの方が時間がかかるかも知れません。



不出来なソフトだが

 このソフト、何といっても不完全なものなので、いつエラーをおこしてもおかしくないので、頻繁に保存する必要があります。 また装飾音などは最近のソフトに比べると少し面倒です。 またコピーや修正の際には、かなり混乱も生じます。



IMG_201702051913003f9.jpg
合奏の譜面(スコア)は、なるべくページ数を多くしないために小節をたくさん詰め込まないといけない。なおかつ音符をあまり小さくしないためには、いろいろ工夫が必要。 今のところ、こんな譜面はMusic Time でないと難しい。  曲は「花のワルツ」



1枚の用紙にごちゃごちゃ詰め込むには

 しかし、何といってもこのソフトが使いやすいのはレイアウトが比較的自由に行えるということでしょう。 合奏の楽譜の場合、パート数も多く、なるべくページ数が多くならないように、A4の紙面を余すことなくすべて有効に使わないといけません。 

 1ページの中になるべく多くの小節を治め、なお且つ音符自体が小さくなり過ぎないようにするのは結構難しいところです。 こんな譜面を作るのは、Music Time でないと難しいところかも知れません




今年の水戸ギター・アンサンブル

 ・・・・話はちょっと変わりますが、前述のとおり、今年の水戸ギター・アンサンブルはチャイコフスキーの 「くるみ割り人形組曲」 から何曲かやります。 今現在、「花のワルツ」、「行進曲」、「トレパック」 の3曲の編曲が終わりました。 ほかに1~2曲やるかも知れません。 

 以前の編曲ではほぼ原曲どおりに編曲したのですが、今回は人数も多いので、なるべく簡単に、それでもなるべく原曲の感じが出るようにと工夫しました。 3月頃からぼちぼち練習始めようかと思っています。    
宮下祥子さん




水戸に引っ越してきた

 宮下祥子さんが昨年(一昨年だったかな?)ご結婚なされたことは、以前当ブログでも紹介しましたが、ご主人が水戸芸術館に勤めることになり、数日前水戸に引っ越して来ました。 昨日は私のところにお引越しの挨拶にいらっしゃいました。 



CIMG0957.jpg
ご主人の仕事の関係で水戸に引っ越してきた宮下祥子さん。 私のレッスン・スタジオで。



 宮下さんのようなギタリストに水戸に来ていただくのは、たいへん心強いことです。 札幌にはお母さんがいらっしゃって、またお仕事で海外を含め、各地を回ることも多く、「半分くらい水戸にいられればいいのですが」 といったことでした。 今後こちらでの演奏や、レッスンの機会も多くなりそうですね。







Scoremaker を使ってみて ~2



運指、スラー、タイ、グリサンド記号など




音符の垂直線上にしか指番号が打てない

 運指については、MUsic Time 意外のソフトはすべて音符と連動する形になっているので、なかなか思ったところに打ち込みにくいところがあります。 特にこの Scoremaker では音符の垂直線上にしか打てず、まずそこに打ってから、後で位置を修正しないといけません。 

 単音の場合はそれほど問題ではないのでですが、和音に打ちこむのが若干問題で(特に和音に運指が必要!) 最高音と最低音は打ちこむ場所がありますが、内声部の音の場合には、その音符に”かぶせて”打つしかありません。 そのあとでマウスで移動させるわけですが、運指が音符と重なっていると、マウスで捕まえるのが難しいです。




指番号がかなり小さい

 さらに、Scoremaker の指番号はかなり小さく、たいへん読みにくなっています。 他のソフトではそれほど小さくないので、このソフトだけですが、これでは多少目が良い人でも読みにくいのではと思います。 

 なんとか運指の大きさを変えることが出来ないかと、いろいろ試したのですが、そうしたことは出来なそうです。 これまでも生徒さんなどから(最近は高齢者が多い) 「音符が小さくて読めない」 とか 「運指が読めない」 といった苦情が多いので、 この運指では教材としては難しいでしょう。




タイ、スラー記号

 スラーやタイの記号に関しては Scoremaker では大きな問題はありませんが、記号の形が変えられたらもっとよいと思います。また和音にタイを付ける場合(これもよくある)、1音ずつ付けなければならないのはちょっと面倒です。



グリサンド記号としては制限があるが

 グリサンド記号については、”グリサンド記号” として打つといろいろ制限があり、なかなか思ったようには打てないのですが、その代わりに 図形的に直線が簡単に打てるので特に問題ありません。 これもこのソフトを選んだ理由です。 Sibelius、Finale ではグリサンド記号がなかなか思ったようには打てませんでした。






テキスト




テキストの書き込みは自由に出来るが


 このScoremakerではテキスト(文章など)はかなり自由に書きこめます。 フォントや大きさの選択も問題ありません、コピーも出来ます。 ただし問題なのは、テキストは音符や小節に固定されるわけでなく、どうやらページに固定されているようで、レイアウトを変更した時、これらのテキストは全然違う小節に移動してしまいます。




レイアウトを変えると、とんでもないところに行ってしまう

 つまり、運指や、強弱記号は音符と一緒に移動するのですが、自由なテキストとして書きこんだ弦の番号や、セーハ、ハーモニックス記号などはページに固定されるので、レイアウトを変えた時、最初に打ちこんだ音符や小節からかなり遠いところに行ってしまいます。

 運指の数字が小さくて使えないとなると、この自由テキストを使って番号を打ち込むしかないのですが、途中でレイアウトを変えたりすると、相当たいへんなことになってしまいます。 レイアウトが完全に決まってから運指などをを書きこめばよいのですが、なかなかそうは行かず、レイアウトを変更しなければならないことはしばしば起きます。



IMG_20170130224241fe4.jpg
このような弦の番号やハーモニックスに記号などは、レイアウトを変えるごとにとんでもないところに移動してしまう。 ピアノやフォルテなどの強弱記号、dim.などの記号は小節に固定されているので、移動することはない。 それならなぜ自由テキストは同じようにしなかったのか?




小節に固定するのが良いと思うが

 これらの記号はレイアウトが完全に決まってから打てばよいのですが、しかし楽譜はその都合に合わせてレイアウトを変える必要は必ず出てきます。 そうした場合にはたいへん不便です(修正出来なくもないが)。 Finale などはテキストも音符に固定する形になっていますが、小節に固定するのが最も使いやすいのではと思います。






楽譜制作ソフト  5  <Scoremaker> 河合楽器




クラシック・ギターの譜面を書く人の参考になれば

 Scoremaker を購入して10日以上経ちます。 その間、二重奏曲を含め、4曲ほど楽譜を書いてみました。 確かにそれまでよくわからなかったこともわかってきて、意外とやりやすいことがわかった部分もありますが、しかし逆にやりにくいところや、このソフトでは出来ないなどもわかってきました。

 この1カ月ほど楽譜制作ソフトと苦闘してきたのですが、そろそろ、暫定的ではありますが、一応の結論を出しておこうと思います。 ただし、これらのソフトは、特にクラシック・ギターの独奏や合奏などの譜面を書くためのものではなく、ジャンルが違えば、使いやすさも全く違ってくると思いますので、これらのソフトの絶対的な評価ではありません。

 もとより私には絶対的な評価を出すほどの力はありませんが、 多少なりとも、クラシック・ギターの譜面を書く人の参考になればと思います。 もちろんかなり個人的な偏った感想ではあります。




河合楽器 <Scoremaker>  を使ってみて




◎楽譜設定



ギターとして設定するよりも

 楽譜設定とは、楽譜を書き出す前に白紙の5線を出すことですが、その時 <クラシック・ギター>(このソフトではナイロン・ギターとなっている)として設定しても、タブ譜が付いてきます。 消すことも出来ますが、ト音記号の前にカギ括弧が付いてしまい、ちょっと邪魔な感じがします。 

 また、音色がクラシック・ギターというよりアコースティック・ギターに近く、ちょっと言葉が悪いのですが、ペン・ペンというような音に聴こえます。

 したがって、私の場合は楽器の指定のない5線にグランド・ピアノの音を付加して書き始めます。 ピアノの音の方が自然で、私にはギターのイメージに近く感じられます。 こうしたことはMisic Time の場合と同じです。 しかしそのままだと1オクターブ高い音が出てしまいますので、オクターブ低い音が再生されるように設定します。 



アルト・ギターなど移調楽器を含む合奏の譜面も一応書けそう

 まだ本格的に合奏の譜面は書いていませんが、アルト・ギターやバス・ギターなどの移調楽器を含む譜面を設定するのは少々ややっこしいですが、出くなくもありません。




IMG_201701291824556ba.jpg



IMG_0001_20170129182757901.jpg

 アルベニスの「タンゴ」の譜面。 このような曲ではレイアウトなども特に問題はなかった。 しかし運指の番号がかなり小さい、読めないと言う人は多いかも。  また音符の配置は見て分かる通り、4分音符などは数学的に考えれば小節の半分のスペースを占めるはずだが、それよりもかなり狭くなっている。 確かにその必要はあるが、数学的に比例するスペース配分の選択もあってよいのでは。







◎レイアウト


なかなか思い通りのレイアウトが出来ない

 結局、これがどのソフト(Music Time以外)も問題だったわけですが、 この Scoremaker は最初に各段の小節数が指定出来る点、Sibelius や Finale よりはやりやすいようです。 しかし、ページあたりの段数が指定出来ないとか、途中から各段の小節数を設定しなおせないとか、Music Time に比べるとかなり不自由です。

 そうした場合は、各段ごとに改行の操作をしないといけないのですが、これがかなり面倒で、なかなか簡単には行きません。 譜めくりの関係でページが変わる場所を変えようと思ってもなかなか上手くゆかず、結局あきらめました。 Sibelius、Finale などもだいたい同じで、基本的にレイアウトはソフトに従わないと面倒なようです。








◎音符の書き込み



音符の打ち込み自体は問題ない

 音符を書きこむことはどのソフトも特に問題ありません。 間違って打ってしまった音もどのソフトでもマウスで修正出来ますが、Finale は音符の選択がややしにくいところもあります。



画期的な自動声部割なのかも知れないが

 <声部割り> については、Sibelius も Finale も初期設定は4声になっていますが、ギター独奏の譜面の場合はほぼ4声で事足りるでしょう。 

 この Scoremaker は声部分の設定がなく、音符の上下で打ち込みソフトの方で各声部に振り分けると言う、かなり変則的な (開発者的には画期的?)システムになっているのは以前にも言った通りです。 書き手の方がいちいち声部を気にしなくても、ソフトの方で自動的に行うと言ったように出来ています。

 一見便利なようですが、書き手の方は実際に打ちこんでみないとどの声部になっているかわからず、場合によってはあり得ないような声部割りになっていることもあります。



”普通” でもよかった


 確かに打ち込んでから声部を変更したり、あるいは事前に声部を指定して音符を打ちこむことも出来るのですが、このソフトに使い慣れていないとかなり面倒、あるいはややっこしいと思います。 やはり他のソフトのように最初から声部を指定して音符を打ちこむ方が使いやすいのではないかと思います。




音符の左右の位置の調整は重用なことなのだが

 また、以前に書いた通り、Sibelius、Finale では打ちこんだ後の音符を左右に移動させることが出来ないのですが、このソフトは一応出来ます。 これは楽譜を書く方にとってはたいへん重要なことです。 まず多声部の譜面で、場合によっては音符と譜尾(音符の棒や桁)が重なってしまうことがあるので、それを調整しないといけません。

 またほとんどのソフトは16部音符などの短い音符が接近し過ぎてしまわないように数学的な比例配分よりは短い音符を長めに、長い音符を短めにスペーシングが設定されています。 さらにシャープなどの変化記号が付く場合には短い音符でもさらにスペースを取ることになります。




教材の場合は


 すると結果的に短い音符の方が長い音符よりも広くスペースを取ってしまうこともあります。 そうすると、ギターを習っている人の場合、”見た目どおりに” 長い音符を短く、短い音符を長く弾いてしまうこともあり、初中級クラスの教材では問題が生じます。

 教材として使う場合はそうしたことも修正して、なるべく長い音符は長く、短い音符は短く表記しないといけません。 この Scoremaker では限定的にではありますが、一応音符の移動が出来るので、このこともこのソフトにした理由でもあります。 しかしやはりそうしたことが非常に自由に出来た Music Time に比べるとやりにくい、こうした点では Music Time の方がずっと優れていると言えます。